定額減税の対象になる方
今回の「定額減税」を受けられるのは、
- 令和6年分の所得税を納税する居住者※1
- 令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方※2
とされています。
非常に多くの方が対象となる制度ですので、内容をしっかり把握して、ご自身や周りのご家族がどのように減税を受けられるのかを確認しておきましょう。
- 「居住者」とは、国内に住所を有する個人又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。
- 給与収入のみの場合、給与収入が2, 000万円以下の方。子ども・特別障害者等を有する者などの所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。
定額減税とは
「デフレ完全脱却のための総合経済対策(令和5年11月2日閣議決定)」において、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、令和6年分所得税・個人住民税の減税を実施。具体的には、納税者及び配偶者を含めた扶養親族1人につき、令和6年分の所得税3万円・令和6年度分個人住民税1万円の減税を行うとされました。(※定額減税は、居住者であることなど一定の要件を満たした方が対象です)
定額減税額の計算
定額減税額は納税者、同一生計配偶者、扶養親族1人につき、令和6年分の所得税3万円、住民税1万円の合計4万円です。よって定額減税の条件を満たしている対象の方であれば、受けられる減税額はひとり暮らしの方で4万円、3人家族なら12万円、4人家族なら16万円となります。(元々の納税額が減額分に満たない場合、納税額以上の減税は受けられません)
ただし、所得税と住民税では減税の方式が異なるので注意が必要です。こちらについては次の「減税の方式について」のパートで詳しくご説明しますのであわせてご覧ください。
減税額のシュミレーション
ひとり暮らし年収400万
- 所得税:3万円 住民税:1万円
- 給与所得者所得税3万円
住民税1万円
3人家族世帯年収¥600万
-
所得税:9万円 住民税:3万円
給与所得者所得税3万円
住民税1万円 同一生計配偶者所得税3万円
住民税1万円 扶養親族所得税3万円
住民税1万円
4人家族(共働き)世帯年収¥1,000万
-
所得税:12万円 住民税:4万円
給与所得者所得税3万円
住民税1万円 扶養親族所得税3万円
住民税1万円 扶養親族所得税3万円
住民税1万円 給与所得者所得税3万円
住民税1万円
※同一生計配偶者ではない場合、それぞれ減税が行われる
夫婦で年金暮らし給与所得なし
-
所得税:6万円 住民税:2万円
年金受給者所得税3万円
住民税1万円 年金受給者所得税3万円
住民税1万円
用語の解説
同一生計配偶者
控除対象者と生計を一にする配偶者のうち合計所得金額が48万円以下の人です。青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度でも給与の支払を受けている人や白色申告者の事業専従者は除きます。
すべて当てはまれば「同一生計配偶者」
- 控除対象者と生計を一にする配偶者である
- 合計所得金額が48万円以下である(給与収入のみの場合103万円以下)
- 青色事業専従者として給与の支払を受けておらず、また白色申告者の事業専従者でない
扶養親族
所得税法上の控除対象扶養親族だけでなく、16 歳未満の扶養親族も含まれます。(※所得税の配偶者控除や扶養控除の対象者と範囲が異なるため注意)
すべて当てはまれば「扶養親族」
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人である
- 納税者と生計を一にしている
- 年間の合計所得金額が48万円以下である(給与収入のみの場合103万円以下)
- 青色事業専従者として給与の支払を受けておらず、また白色申告者の事業専従者でない
減税の実施について
減税額の計算は上記の通り比較的かんたんですが、定額減税を実施する方法は状況により細かくルールが分かれます。まずは所得税と住民税の違いについてご確認ください。
所得税の減税
基本的に、6月以降の所得税から定額減税額の上限に達するまで所得税が減額されます。
なお、個人事業主の場合は第1期予定納税から順次減税されますが、予定納税が発生していない場合は確定申告で減税されます。
単身で元の納税額が¥84,000と仮定すると
所得税年額:¥84,000 月額:¥7,000 減税額:¥30,000 | ||||
---|---|---|---|---|
納税月 | 減税なし | 減税あり | 減税額 | 減税残高 |
令和6年6月 | 7,000 | 0 | - 7,000 | 23,000 |
7月 | 7,000 | 0 | - 7,000 | 16,000 |
8月 | 7,000 | 0 | - 7,000 | 9,000 |
9月 | 7,000 | 0 | - 7,000 | 2,000 |
10月 | 7,000 | 5,000 | - 2,000 | 0 |
11月 | 7,000 | 7,000 | 0 | 0 |
12月 | 7,000 | 7,000 | 0 | 0 |
令和7年1月 | 7,000 | 7,000 | 0 | 0 |
2月 | 7,000 | 7,000 | 0 | 0 |
3月 | 7,000 | 7,000 | 0 | 0 |
4月 | 7,000 | 7,000 | 0 | 0 |
5月 | 7,000 | 7,000 | 0 | 0 |
計 | 84,000 | 54,000 | -30,000 |
住民税の減税
6月の徴収分をいったん¥0として計算します。その後、本来の徴収される住民税の合計から定額減税額を差し引いて11で割った額をひと月分の住民税とし、これを令和7年5月分まで納税する形で減税が実施されます。
4人家族で元の納税額が¥120,000と仮定すると
住民税年額:¥120,000 月額:¥10,000 減税額:¥40,000 | |||
---|---|---|---|
納税月 | 減税なし | 減税あり | 計算式 |
令和6年6月 | 10,000 | 0 | 徴収なし |
7月 | 10,000 | 8,000 | (120,000 - 40,000) ÷ 11※1 |
8月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
9月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
10月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
11月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
12月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
令和7年1月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
2月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
3月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
4月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
5月 | 10,000 | 7,200 | (120,000 - 40,000) ÷ 11 |
計 | 120,000 | 80,000 |
※1)100円未満の端数は切り捨て、切り捨てた端数は7月に徴収されます。
ケース別の注意事項
実際にどのように減税が実施されるのかを、ご注意いただきたい点も含めて以下にケース別でまとめました。
- 給与所得者(単身)
- ご自身が受けられる定額減税額は、ご自身の給与所得より減税されます。
- 給与所得者(扶養あり)
- ご自身、配偶者、扶養親族分を含めた定額減税額が、ご自身の給与所得より減税されます。 ただし配偶者が同一生計配偶者でない場合は、定額減税額に配偶者分は含まれません。この場合、配偶者の定額減税額は配偶者ご自身の給与所得より減税されます。
- 個人事業主(予定納税あり)
- 所得税については令和6年7月の第1期分予定納税額から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。 同一生計配偶者または扶養親族分の定額減税額は、予定納税額の減額申請の手続きにより予定納税額から控除できます。 住民税については本人分と扶養親族等分を減税した「令和6年度分住民税決定通知書」が自治体から送付されます。
- 個人事業主(予定納税なし)
- 「開業初年度」または「前年の所得金額や税額が一定の基準以下」などの理由により予定納税が発生していない場合、定額減税額は確定申告での精算となります。
- 年金受給者
- 2024年6月1日以後支払われる公的年金から順次減税が実施されます。 ただし、年金と給与所得がある場合、公的年金、給与の両方から定額減税が行われるケースもあります。その場合、確定申告で精算をします。 確定給付企業年金法に基づいて支給を受ける年金等の源泉徴収において定額減税額は控除されません。 年金受給者でも扶養親族にあたる場合は扶養者の納税分から減額処理が行われます。
- 収入源が複数ある
- 公的年金や事業・不動産所得、給与所得など複数の所得がある場合、公的年金、予定納税、給与所得から定額減税が重複して行われる場合があります。この場合は、確定申告での精算が必要になります。 上記から定額減税額が控除しきれない場合、確定申告により他の所得から控除ができます。
もし、定額減税についてもっと詳しく知りたい方は、国税庁のサイトで内容をご確認ください。
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