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「個人事業主が青色申告を行いたいのなら、開業届も提出しよう」と言われます。開業届の提出は必須なのでしょうか。青色申告をしたいのなら特に気になるところです。また、開業届はどこに出すのでしょうか。今回は開業届の意義とメリット、青色申告との違いや注意点を解説します。
開業届とは、個人が何らかの事業を開始した場合に税務署などに「事業を始めました」と報告する手続きです。必要書類は「個人事業の開業・廃業等届出書(以下『開業届』)」です。これに必要事項を書いて税務署に提出します。この開業届は次のようになっています。

この用紙は、事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかに当てはまる事業を始めた場合に提出が必要です。ただし提出しなくても、何かペナルティが発生するわけではありません。
気になるのが「開業届は青色申告を行うのに必要か」です。結論から言うと、必要ではありません。青色申告に必要なのは「所得税の青色申告承認申請書(以下『青色申告承認申請書』)」の提出であって、開業届ではないからです。ただ実際は、開業届と青色申告承認申請書は同時に出すのが一般的です。
なお、開業届と青色申告承認申請書には、次のような違いがあります。
開業届の提出は「届出」という行為ですが、青色申告承認申請書の提出は「申請」という行為に当たります。
届出とは行政機関に対する報告です。税務であれば「開業しました」「廃業しました」と、納税者が自分の意思で選択したことや行なったことを税務署に報告します。開業届の提出も届出です。
申請は原則、自分に有利な行政処分をお願いする行為です。税務だと「青色申告という、事業主にメリットの多い制度を使わせてください(青色申告の承認申請)」「地震の被害に遭ったので、申告期限を延長してください(期限の延長申請)」といったことがこれに当たります。
原則、申請を行ったら「承認」あるいは「却下」が行政機関から通知されます。税務署も例外ではないのですが、青色申告承認申請書については、青色申告をしたい年の12月31日までに特段通知がなかったら、承認されたものとみなされます。
なお、その年の11月1日に新たに業務を開始した場合は例外です。この場合は翌年2月15日までに何も通知がなければ承認されたものとみなされます。
開業届と青色申告承認申請書は提出期限も異なります。次の通りです。
| 書類 | 提出期限 |
|---|---|
| 開業届 (個人事業の開業・廃業等届出書) |
事業を開始してから1か月以内 |
| 青色申告承認申請書 (所得税の青色申告承認申請書) |
|
開業届と青色申告承認申請書とでは、効果が異なります。
開業届を出したからといって、特段大きな変化はありません。強いて言うなら、確定申告の前に、おしらせのはがきが送られてくる程度です。
青色申告承認申請書を提出して承認を受けると、主に次のような税制上のメリットを享受できます。
開業届は「個人であっても事業主として事業を行っている」という事実の証明になります。そのため、次のようなメリットがあります。
開業届については次の点に注意しましょう。
この記事でお伝えしたのは税務署に提出する開業届です。都道府県の税事務所には、このほか、個人事業税の計算のため「事業開始等申告書」を提出する必要があります。
また「消費税でインボイスの発行事業者として登録をしたい」「青色事業専従者給与の支払いを必要経費に計上したい」「消費税の還付を受けたい」といった場合もそれぞれ別途手続きが必要となります。
開業届を税務署に紙で提出する場合は注意が必要です。というのも、2025年8月現在、申告書や届出書などの紙提出については、税務署での収受印が廃止されています。
電子申告ならば収受した年月日が記録として残りますが、紙提出は記録がありません。そのため、小規模企業共済の手続きのように、別途書類を求められることがあります。
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税理士 鈴木まゆ子
税理士・税務ライター|中央大学法学部法律学科卒。ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。ZUU online、マネーの達人、朝日新聞『相続会議』、KaikeiZine、納税通信などで税務・会計の記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著)。