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ズバリ解決!農業所得の令和7年分確定申告Q&A
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ズバリ解決!農業所得の令和7年分確定申告Q&A

掲載日 : 2026.02.27 / 最終更新日 : 2026.03.04

はじめに

今年も確定申告の時期がやってきた。令和7年分の所得税申告は、令和8年2月16日(月)から始まり、3月16日(月)まで、消費税等は3月31日(火)までとなる。今回は誤りやすい事項や質問が多く寄せられる問題点などをピックアップしてQ&A形式で簡潔に分かりやすくまとめたのでぜひ参考にされたい。農業者は、今一度本稿で確認して確定申告に臨んでいただけたらと思う。記事の記載にあたり国税庁の公表資料をもとにわかりやすく説明している部分は、著者の個人的な見解も含むことをあらかじめお断りする。

収入金額の内訳(明細)

Q 新規就農して初めての申告、青色申告決算書(収支内訳書)に農業特有なものはないものとして収入金額の内訳(明細)欄に販売金額だけ記載した。これで問題ないのか?

A 農業の場合、作付面積 (飼育頭羽数)の記載も必要。「田畑」欄には面積a、「特殊施設」欄には面積㎡、「畜産物その他」欄には頭羽数を記入する。

ここがポイント!

温室やビニールハウス等で収穫したものは、「特殊施設」欄に記入する。

販売金額

Q 令和7年分の農産物の販売で代金を受け取った分だけを損益計算書(収支内訳書)に記載した。これで問題ないのか?

A 販売後、まだ実際に代金を受け取っていない場合でも令和7年中に販売したものについては、令和7年分の販売金額になる。特に米価上昇による収入増加の稲作農家は気をつけたい。

ここがポイント!

販売金額は、市場手数料や包装費などの出荷経費を差し引く前の金額を記入する。

家事消費・事業消費金額

Q 新規就農したばかりで青色申告決算書(収支内訳書)に自分の家で食べたり、他人にあげた場合の農産物をどのように記載したらよいかわからない。収入金額の内訳(明細)欄に販売金額だけ記載した。これで問題ないのか?

A 収穫した農産物を家族で食べる、贈答などした場合には家事消費として収入金額に含める。また収穫した農産物を自己の生産のために消費した場合は、事業消費として収入金額に含める。

ここがポイント!

消費した数量等に収穫時の価額の平均額(販売単価から市場手数料や包装費などの出荷経費を差し引いた価額の平均)を乗じて計算する。

雑収入

Q 新規就農したばかりで農産物の販売金額だけを損益計算書(収支内訳書)に計上している。これで問題ないのか?

A 国などから交付された補助金や農作業受託料収入等は収入金額の内訳(明細)雑収入欄に名称及び金額を記入する。水稲共済金、出荷奨励金、副産物の販売収入(わら、もみ殻)など。

ここがポイント!

生命共済や傷害共済などの自己の身体に係る共済金は雑収入には該当しない。

農協等から受ける出資配当金

Q 農協からの配当金を雑収入欄に計上した。これで問題ないのか?

A 配当所得の収入金額とする。農業所得の収入とはならないので注意。

農業用ビニールハウスの耐用年数

Q 昨年ビニールハウスを新設して、農業用ビニールハウスの耐用年数は8年で計算した。これで問題ないのか?

A 農業用のビニールハウスの耐用年数については、構築物に該当するか否かにより異なる。

ビニールハウスが「構築物」に該当する場合

主として金属造の場合は14年を、主として木造の場合は5年を、その他のものの場合は8年を適用する。

ビニールハウスが「構築物」に該当しない場合

「器具及び備品」の耐用年数を適用することとなり、主として金属製の場合は10年を、その他のものの場合は5年を適用する。

ここがポイント!

平成28年4月1日以後に取得する構築物に係る減価償却費の方法について定率法が廃止されたため、平成28年4月1日以後に取得した「構築物」に該当するビニールハウスは定額法により減価償却を行う。

確定申告の相談が多い事項

農業経営において欠かせない必須アイテムである軽トラの耐用年数4年(定額法償却率0.250)トラクターの耐用年数7年(定額法償却率0.143)。

収入保険の税務上の取扱い

Q 災害が多い昨今、青色申告の要件を満たしたので収入保険に加入した。保険料及び事務費と共に積立金も必要経費とした。これで問題ないのか?

A 保険料及び事務費については保険期間の必要経費に算入する。ただし保険期間開始前に支払った場合は、継続適用を要件に、支払った日の属する年分の必要経費として取り扱うことができる。積立金は預け金として課税関係は生じないため必要経費に算入されない。貸借対照表の資産の部に経営保険積立金として計上する。

青色申告特別控除

Q 納税額がない場合、令和8年3月17日(火)以後に確定申告書を提出しても青色申告特別控除は、55万円又は65万円が適用できると考えている。これで問題ないのか?

A 55万円又は65万円の青色申告特別控除の適用を受ける場合、令和8年3月16日(月)法定申告期限までに確定申告書を提出する必要がある。

小規模企業共済等掛金控除

Q 控除対象配偶者である妻名義のiDeCoの掛金を夫が支払った場合、夫の小規模企業共済等掛金控除として計算した。これで問題ないのか?

A 社会保険料控除とは異なり、小規模企業共済等掛金控除は自己が契約した掛金を支払った場合、その支払った金額について控除を受けることができる。 したがって控除対象配偶者が負担すべき掛金を夫が支払ったとしても、夫が当該掛金を控除することはできない。

医療費控除(セルフメディケーション税制)

Q セルフメディケーション税制を選択して申告したが、従来の医療費控除を選択すると還付金額が増えることを理由に、後日、更正の請求書を提出した。これで問題ないのか?

A セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例であり、従来の医療費控除との選択適用となる。 したがって重複適用や、一度選択した控除を更正の請求や修正申告において変更することはできない。

住宅借入金等特別控除

Q 住宅借入金等の借換えを行った場合、借入金等の年末残高証明書の当初金額が借換え直前の残高より多いにもかかわらず、借換え後の年末残高で控除額を算出している。これで問題ないのか?

A 借換えを行った場合の住宅借入金等の年末残高は、次により計算をする。

a≧bの場合 対象額cの金額
a<bの場合 対象額c×a/bの金額    

a:借換え直前における当初の借入金等の残高
b:借換えによる新たな借入金等の額(当初金額)
c:借換えによる新たな借入金等の年末残高

消費税の適用税率

Q 新規就農し観賞用の花とトマトを栽培して販売している。消費税申告の計算はすべて10%で計算している。これで問題ないのか?

A 消費税率の引上げ及び軽減税率の導入による区分経理について、軽減税率導入後(令和元年10月1日以降)の売上げ及び仕入れ(経費)については、軽減税率対象品目の取引とそれ以外の品目の取引で区分する必要があることに注意する。観賞用の花販売は10%、トマト販売は食品なので8%に区分する。

ここがポイント!

課税事業者の方は消費税等の申告を行うに当たり、税率ごとに区分して計算が必要になる。8%(軽減税率)と10%(標準税率)に各金額を区分する。

仕入れ(経費)については、8%(軽減税率)と10%(標準税率)の各金額をインボイス発行事業者からの仕入れ(経費)とインボイス発行事業者以外の者からの仕入れ(経費)で経過措置(80%控除)の適用を受けるものに区分して、それぞれ科目ごとに金額を記載する。

なおインボイス発行事業者の登録を受けたことにより、年の中途から課税事業者となった方は、インボイス発行事業者の登録日から令和7年12月31日までの取引について記載する。

課税売上げ

Q 農業用車両を売却(下取り)しているが、その対価の額を課税売上げとしないで消費税の計算をした。これで問題ないのか?

A 資産の譲渡等には、その性質上、事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡が含まれるため、農業用車両の売却(下取り)の対価の額は課税売上げに含める必要がある。

課税仕入れ

Q 農業と家事に共用する減価償却資産を取得しているが、その取得価額の全額を課税仕入れに係る支払対価の額として消費税の計算をしている。これで問題ないのか?

A 家事共用資産を取得した場合、その家事使用に係る部分は、課税仕入れに該当しない。この場合、当該資産の取得に係る課税仕入れに係る支払対価の額は、その資産の使用率、使用面積割合等の合理的な基準により計算する。

基準期間の課税売上高

Q 私は、令和5年10月1日からインボイス発行事業者となった個人事業者(メロン農家)、それまでの間は免税事業者だった。令和7年分の申告における基準期間(令和5年分)における課税売上高は、免税事業者であった令和5年1月から9月までの金額を含まなかった。これで問題ないのか?

A インボイス発行事業者になったことにより、令和5年10 月1日から課税事業者となった個人事業者が、令和7年分の消費税の確定申告を行うに当たり、その基準期間は令和5年となるが、この場合の基準期間における課税売上高(税抜)は、当該個人事業者が免税事業者であった期間(令和5年1月から9月)の課税売上高を含む金額で計算することとなる。
また、その免税事業者であった期間に係る課税売上高について税抜処理は行わず、その売上げ(非課税売上げ等を除く)がそのまま課税売上高となる。

ここがポイント!

課税期間の中途から課税事業者となった場合の基準期間における課税売上高の計算例(全て適用税率8%)

① 令和5年1月~9月 課税売上高5,400,000円
② 令和5年10月~12月 課税売上高4,320,000円
①5,400,000円(そのまま計算)+ ② 4,320,000円×100/108(税抜処理)=9,400,000円

消費税の計算で2割特例(納税額を売上税額の2割の金額とする特例)などを検討する場合、基準期間の考え方が重要となる。

おわりに

農家の方は、天候の影響により豊作・不作や稲作農家は米価低迷からの高騰などいろいろな要因があるものの申告漏れにはくれぐれも気を付けたい。毎年多忙を極める確定申告の時期に山ほどの疑問質問が寄せられる。特に初めてでわからない方は、税務署による電話相談も行われているので利用するのも一手だ。今回は誤りやすい事例や疑問点を取り上げてきたが、まずは基本的なルールから理解して、スマートな確定申告に臨んでいただけたら幸いである。

ABOUT執筆者紹介

佐藤宏章

公認会計士/税理士
公認会計士・税理士 佐藤宏章事務所 代表

秋田県農家出身(酪農・メロン・水稲)。東京農業大学農学部農学科卒業後、農業経営者に的確なアドバイスをと一念発起し、公認会計士資格取得。監査法人勤務を経て、「日本初の農業に特化した専門家」として独立開業。

農業経営者に会計・税務・経営をわかりやすく伝えることをモットーに、全国各地で活動中。企業・自治体・大学・税理士会等向けに講演、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)「めざましテレビ」(フジテレビ)その他メディア出演も多数。かつてないスタイルで唯一無二の存在と信頼を集める。

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