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売り上げは畑だけで決まらない!客に選ばれる農家の梱包術
農家おすすめ情報

売り上げは畑だけで決まらない!客に選ばれる農家の梱包術

掲載日 : 2026.03.02 / 最終更新日 : 2026.03.04

相手に安心感を与え継続取引につなげるために!

野菜セットやレストランへの出荷など、ダンボールで発送する販路を持つ農家も多いのではないでしょうか。タケイファームでは、出荷する野菜の95%をダンボールに入れてレストランへ発送しています。顔の見える関係だからこそ、味だけではなく「届いたときの印象」までが評価対象になります。

畑でどれだけ良い野菜を作っても、箱を開けた瞬間の印象が悪ければその価値は下がってしまいます。味が良いことは前提条件。その上で「また頼みたい」と思ってもらえるかどうかは、実は梱包で決まる部分も大きいのです。
今回は、レストラン出荷を続ける中で実践してきた「信頼を積み上げる梱包」についてお伝えします。

第一印象がすべてを決める

以前、取引先のシェフにこのようなことを言われました。

「送られてきたダンボールを見ればその生産者の仕事がわかる」

理由を聞くと、「テープがねじれていたり、雑に貼られている箱は、中の状態も良くないことが多い」とのことでした。

最初は半信半疑でしたが、自分が荷物を受け取る立場になるとよくわかります。梱包が丁寧な箱は、それだけで誠実さが伝わります。逆に使い古しのダンボールや雑なテープを見ると、開封前から不安になります。
本当の仕事は、畑を離れてからも続いています。箱を開ける瞬間までも気を抜くことはできません。

テープはねじれないように貼る

5mmの気配り

タケイファームが必ず行っているのが、テープの端を約5mm折り返して貼ることです。

この5mmがあるだけで、受け取った人は簡単にテープをはがすことができます。たった5mm。しかし、その小さな工夫が「気配りができる丁寧な人だ」という印象を作ります。この作業にかかる時間は数秒です。コストはほぼゼロ。それでも相手の体験価値は大きく変わります。農業経営は、大きな設備投資や規模拡大だけで差がつくわけではありません。こうしたお金のかからない改善をどれだけ積み重ねられるかが、利益率に表れ、他の農家との差につながるのです。

開封しやすいようにテープの端を5mm折り返す

新聞紙も見せ方の一部

梱包に新聞紙を使っている農家も多いでしょう。底に敷く、隙間を埋める、低温に弱い野菜を包むなど用途はさまざまです。ここで気をつけることは、スポーツ新聞は使用しないということ。派手な見出しや風俗記事が目に入るだけで、野菜の印象は下がります。実際にシェフから「梱包に使われている新聞も見ていますよ」と言われたことがあります。

梱包材もまた、商品の一部です。英字新聞は高級感がありますが、経費とのバランスも重要です。見栄えを優先しすぎて原価が上がれば意味がありません。見せ方とコスト、その両方を意識することが大切です。

毎日配達してもらっている新聞だけでは足りなくなりますので、新聞屋さんから毎月まとめて新聞紙をもらっています。新聞屋さんには予備の在庫がありますので、契約時にほしい旨を伝えておくと月末に持ってきてくれますので経費はかかりません。

0.44円の投資

野菜を入れるボードン袋も重要なポイントです。規格袋には「穴あり・穴なし」と「#20・#25」という厚みの違いがあります。タケイファームでは、通気性を考えて穴ありの#25を使用しています。#25は0.025mm、#20は0.02mm。その差はわずか0.005mmですが、袋の張りや見栄えは明らかに違います。

近所のホームセンターでの価格は、9号サイズ100枚で#25が195円、#20が151円。その差44円、1枚あたりにすると0.44円です。0.44円で見栄えが向上し、単価が上がる可能性があるなら、それは「コスト」ではなく「投資」です。数字で考えると、判断は明確になります。

左#25、右#20のボードン袋

黒テープという選択

袋詰めした野菜を止めるテープにも工夫があります。金や銀のテープ、麻ひもなども見かけますが、高級感を出すなら黒テープがおすすめです。

緑、赤、白、オレンジ、どの色の野菜にも合い全体が引き締まります。実際に黒テープへ変更してから、単価が上がった経験もあります。

見せ方は価格に直結します。これはレストランとの取引を続ける中で学んだことです。

ボードン袋9号の#25、穴ありにネギ坊主を詰め、黒テープで止めてあります。
いかがでしょうか?高級感がありませんか?

#25を使用し黒テープで止めたネギ坊主

発送の連絡は最大の安心材料

そして最も大切なのが発送後の連絡です。それによって、相手は荷物が予定通り発送されたことを確認できます。その際に伝票番号を伝えることで荷物の状況を把握できますので、万が一、遅延があった場合にもすぐに対応できます。

野菜を届けるだけではなく、「安心」も一緒に届けること。その積み重ねが継続的な取引につながります。
売り上げは畑だけで決まりません。箱を閉じる瞬間までが農家の仕事なのです。

ABOUT執筆者紹介

武井敏信

タケイファーム

タケイファーム代表。「営業はしない」がポリシー。今まで350種類を超える野菜を栽培し、年間栽培する野菜は約140品種。独自の販売方法を生み出し、栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売している。趣味は食べ歩き。一般社団法人Green Collar Academy理事。青山学院大学ABS農業マーケティングゲスト講師。京都和束町PR大使。