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青色申告は、節税メリットの大きい制度として知られていますが、「申請すれば誰でも使えるもの」と誤解されがちです。実際には、青色申告を利用できるかどうかは、本人の希望ではなく、所得の種類や事業の実態、事前の手続きによって決まります。
特に、個人事業主やフリーランス、会社員の副業など、働き方が多様化している今、「自分は青色申告の対象者なのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、青色申告の対象となる人の条件や、対象外となるケース、申告前に必要な準備、メリット・注意点までを体系的に解説します。
※本記事は掲載日時点の制度にもとづいて作成しています。
青色申告は「申請さえすれば誰でも利用できる制度」と思われがちですが、実際にはそうではありません。青色申告をできるかどうかは、本人の希望だけで決まるものではなく、そもそもどの所得区分に該当するかによって「制度の対象になる・ならない」が分かれます。
日本の所得税は、納税者自身が税法に従って所得金額と税額を計算し、申告・納税する「申告納税制度」を採っています。そのため、1年間(1月1日から12月31日)に得た収入や必要経費を正しく計算するには、日々の取引を帳簿に記帳し、取引に伴って作成・受領した書類を保存しておくことが前提です。
一定水準の記帳を行い、その記帳に基づいて正確に申告できる人に対して、所得金額の計算などで有利な取り扱いが認められる仕組みが青色申告です。つまり青色申告は、「記帳をきちんと行い、正しい申告を行える人に対する優遇制度」です。
青色申告の対象は、不動産所得・事業所得・山林所得がある人に限られます。給与所得のみの会社員など、所得区分が対象外の場合は、たとえ希望しても青色申告を選ぶことはできません。まずは自分の所得がどの区分に当たるのかを確認しましょう。
青色申告を利用できるかどうかは、「どの所得に該当するか」で判断されます。ここでは、青色申告の対象となる3つの所得要件について、それぞれのポイントを解説します。
事業所得とは、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業など、継続的かつ営利目的で行う事業から生じる所得を指します。個人事業主やフリーランスとして活動している方の多くは、この事業所得に該当します。
注意したいのは、すべての収入が事業所得になるわけではない点です。不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、原則として事業所得ではなく、不動産所得や山林所得として区分されます。自分の収入が「事業としての活動」から生じているかどうかを基準に判断することが重要です。
不動産所得は、土地や建物などの不動産を貸し付けることで得られる所得です。アパートやマンション、駐車場などの貸付収入が代表例です。
また、借地権など不動産の上に存する権利を設定・貸し付けた場合や、船舶・航空機の貸付けによる収入も、不動産所得に含まれます。ただし、これらが事業的規模として行われているかどうかによって税務上の取り扱いが変わるため、規模や実態による判断が必要です。
山林所得は、山林を伐採して譲渡した場合や、立木のまま譲渡することによって生じる所得です。長期間保有してきた山林を対象とした所得である点が特徴です。
ただし、山林を取得してから5年以内に譲渡した場合は、山林所得ではなく、事業所得または雑所得として扱われます。また、山林を土地付きで譲渡する場合、土地部分の所得は山林所得ではなく、譲渡所得に区分されます。取引内容によって所得区分が分かれるため、判断には注意が必要です。
会社員であっても、副業による所得がある場合、条件を満たせば青色申告を選択できます。ポイントとなるのは「会社員かどうか」ではなく、その副業収入がどの所得区分に該当するかです。
サラリーマンの本業の収入は給与所得に分類されますが、それとは別に得ている副業収入が「事業所得」「不動産所得」「山林所得」のいずれかに該当する場合は、確定申告において青色申告を選択できます。
たとえば、継続的にフリーランスとして業務委託を受けているケースや、アパート経営などによる家賃収入がある場合は、青色申告の対象となる可能性があります。
一方で、副業収入が雑所得と判断される場合は、青色申告を利用できません。継続性や営利性、事業規模などの実態によって所得区分が判断されるため、「副業だから青色申告できない」「会社員だから無理」と一概に決めつけるのではなく、自分の副業がどの所得に該当するのかの確認が必要です。
会社員の確定申告全般について知りたい方は、あわせて以下の記事も参考にしてみてください。
青色申告は、税負担を軽減できる有利な制度ですが、対象者であれば誰でも無条件にメリットを受けられるわけではありません。青色申告の対象者が受けられる主なメリットとあわせて、見落としやすい注意点について解説します。
青色申告の対象者になると、白色申告にはない税務上の優遇措置を受けることができます。代表的なメリットは以下のとおりです。
青色申告の特典は「対象者であれば自動的に受けられるもの」ではなく、一定の手続きを満たして初めて適用されます。
青色申告特別控除は、日々の記帳を行っていることが前提であり、55万円(一定の条件を満たせば65万円)の控除を受けるには、正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳したうえで、その記帳に基づく貸借対照表・損益計算書(青色申告決算書)を確定申告書に添付し、法定期限内に提出する必要があります。要件を満たせない場合、控除額が10万円にとどまります。
青色申告の記帳は日ごろ準備がとても重要です。
会計ソフトに日々の帳簿を記録しておくことで、確定申告に必要な書類を自動で作成してくれます。
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青色申告を行うためには、対象となる所得があるだけでなく、事前に所定の届出を期限内に提出しておく必要があります。重要なのが、次の2つの手続きです。
新たに事業を開始したことを税務署に届け出るための書類です。事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき事業を始めた場合に提出します。
提出期限は、事業を開始した日の属する年分の確定申告期限(原則3月15日)までで、e-Taxを利用してオンライン提出も可能です。
青色申告を行う前提として、実務上は開業届の提出が必須と考えておくとよいでしょう。
青色申告を選択するために必要な申請書です。この届出を提出し、税務署から承認を受けることで、青色申告特別控除などの各種特典が利用できるようになります。
原則として、青色申告を行いたい年の3月15日までに提出する必要があります。ただし、その年の1月16日以降に新たに事業を開始した場合は、事業開始日から2か月以内が期限となります。
申請はe-Tax(WEB版)から行うことができます。
青色申告の対象者についてよくある質問に回答します。
確定申告の必要書類については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
はい、赤字であっても青色申告の対象になります。
青色申告では、事業所得などで生じた赤字(純損失)について、翌年以後3年間にわたって所得から差し引く「純損失の繰越控除」が認められています。
また、前年も青色申告をしている場合には、赤字を前年分の所得に繰り戻して税金の還付を受ける「純損失の繰戻し」が可能なケースもあります。
一定の要件を満たす特定非常災害による損失については、繰越期間が5年間に延長されることがあります。
はい、変更できます。
ただし、青色申告を適用するためには、その適用を受けようとする年の原則3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
期限を過ぎてしまった場合は、その年は白色申告のままとなり、青色申告は翌年分からの適用になります。
はい、一定の場合には青色申告の承認が取り消されることがあります。
代表的なケースは次のとおりです。
青色申告は、税負担を軽減できる魅力的な制度ですが、誰でも無条件に利用できるわけではありません。不動産所得・事業所得・山林所得のいずれかに該当すること、期限内の届出や日々の記帳といった要件を満たしてはじめて、そのメリットを受けることができます。
また、会社員の副業であっても、収入の内容や継続性によっては青色申告の対象になるケースがあります。一方で、雑所得と判断される場合は利用できないため、「副業だから」「会社員だから」といった理由だけで判断しないことが重要です。
会計ソフトの選び方について詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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税理士、1級ファイナンシャルプランニング技能士
伴(ばん)洋太郎
BANZAI税理士事務所
大学卒業後、一般企業や税理士事務所での勤務を経て税理士試験に合格し、2018年にBANZAI税理士事務所を開業。個人事業主や中小法人を対象とした業務の経験が豊富で、業務のデジタル化支援やスモールビジネスの立ち上げや個人事業の法人化に数多く携わる。
著書「7日でマスター フリーランス・個人事業主の確定申告がおもしろいくらいわかる本」(ソーテック社)
加藤良大
フリーライター
ホームページ・ブログ
歴12年フリーライター。執筆実績は26,000本以上。
多くの大企業、中小企業のWeb集客、