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ボランティアに謝礼を支払う場合のポイントと注意点
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ボランティアに謝礼を支払う場合のポイントと注意点

掲載日 : 2026.03.11 / 最終更新日 : 2026.03.04

NPO法人は、社会課題の解決というミッションのもと、職員だけでなく、会員やボランティアといった多様な立場の人々によって支えられています 。資金に余裕がある団体ばかりではないため、ボランティアが欠かせない存在になっているNPO法人も少なくありません。

一言にボランティアといっても、交通費程度の少額の謝礼を支払うケースや、まとまった金額の報酬を支払う場合もあり、必ずしも無償とは限りません。そこで今回は、ボランティアに対する謝礼や報酬の取り扱いについて解説します。

給与と謝礼の線引き

ボランティアは善意でNPO法人をサポートする存在のため、無償で活動することが一般的です。しかし、実際には謝礼として一定の金銭を支払っているケースも存在します。このような場合に、給与として取り扱うべきか悩むこともあると思います。

まず、給与は雇用契約に基づき、職務の対価であるという前提があります。また、税務的には雇用契約の有無に関わらず、指揮命令の程度や時間や場所の拘束度合い、支給する金額の算定方法など実態を踏まえて判断することとなります。そのため、雇用契約を結ばなければ給与には該当しないとは言い切れないということです。

特に、支給する謝礼の計算方法や金額については大きなポイントとなります。例えば1時間あたりの金額が決められているなど、労働時間に比例して金額を決める場合には実態として給与だと見られる可能性があります。また、支給する金額についても、一般的なアルバイトの時給に近いような場合も労働の対価とみなされ、実態として給与だという判断になる可能性が高いでしょう。

一方で、謝礼は労働の対価ではなく、実費弁償の要素が強いものです。ボランティアが活動する上で、自宅からの交通費や活動中の飲食費などが発生するケースがあります。このようなボランティアに伴って発生する支出を補填する性質のものであれば、給与として見られることはありません。

ボランティアに謝礼を支給する場合には、ボランティアに関する規程を作成し、謝礼の基準を明確にしておくことが望ましいでしょう。給与扱いを受けないためには、実費弁償の性格であることが重要になるため、1回あたり1,000~2,000円といった交通費や活動中の飲食費を補填する程度の金額が妥当でしょう。

有償ボランティアの取り扱い

NPO法人の中には実費弁償の水準を超える謝礼金を支払っているケースもあり、有償ボランティアと呼ばれることがあります。有償ボランティアには明確な定義はありませんが、給与といえるほど金額は多くないものの実費弁償を超える金銭を支払っている場合を指すことが多いです。

先ほども述べた通り、税務的には雇用契約の有無だけで給与に該当するかを判断する訳ではないため、有償ボランティアにおいては指揮命令の程度などによって給与の該当性を判断することとなります。

給与に該当するかどうかの判断基準としては、次のようなものがあります。

  1. 指揮命令の程度
  2. 時間的・場所的な拘束の程度
  3. 職務に伴う費用負担の有無
  4. 対価の計算方法

まず、指揮命令の程度ですが、NPO法人が有償ボランティアに対して業務内容などを指示しているかどうかです。団体が有償ボランティアに対して明確に指示を出して管理している場合には給与としての性質が強いと判断されることになります。

次に時間的・場所的な拘束の程度ですが、業務時間が明確に決められており、従事する場所も指定されている場合には給与としての性質が強いとみられるでしょう。

職務に伴う費用負担の有無ですが、交通費などが支給されていれば該当することになります。ただし、雇用契約を結んでいる場合でも通勤手当が支給されないケースもあるため、費用負担が無いからといって給与に該当しないとは言い切れません。

最後に対価の計算方法ですが、1時間や1日あたりの金額が決められており、時給や日給のような計算方法であれば給与に近いと判断されるでしょう。

多くの有償ボランティアでは、業務内容は団体によって決められており、時間的・場所的な拘束もされることになります。費用負担や対価の計算方法は団体によって変わるでしょうが、時給や日給のような形で対価が計算されている場合には総合的に給与と判断するのが妥当でしょう。

一方で、SNSの運営代行や経理などの特定の業務を依頼し、有償ボランティアに業務の裁量権があり、場所的・時間的な拘束が少ない場合には給与ではなく報酬として処理することになります。

税務上給与として処理する場合には、源泉徴収の取り扱いに注意が必要です。多くの有償ボランティアは扶養控除等申告書の提出はないと思われるため、乙欄または丙欄で計算することとなります。丙欄は雇用契約の期間が2か月以内であること、または日々雇い入れている場合は継続して2か月を超えて支払いをしないという場合に使用します。イベントなど単発で依頼するケースが該当するでしょう。

また、報酬として処理する場合でも業務内容に応じて報酬として源泉徴収が必要となるケースがあるので注意が必要です。

ボランティアを受け入れる際の注意点

有償ボランティアなど、支払った金銭が給与として取り扱われるケースにおいては、ボランティアに対して事前にその旨を説明しておくことが望ましいです。ボランティアの中には配偶者控除の対象になっていたり、住民税非課税世帯となっていたりする人もいるでしょう。そのような場合、他にアルバイトなどをしていると合算すると配偶者控除や住民税非課税の基準となる所得を超えることがあるかもしれません。そうなるとトラブルの原因にもなるため、事前に説明を行った上で支払い金額を決定するべきでしょう。

また、税務上給与として取り扱う場合でも、労働法上の労働者に該当するとは限らないため、万が一に備えてボランティア保険に加入しておくべきでしょう。

まとめ

ボランティアといっても謝礼の有無や金額など様々なケースが存在します。特に金銭を支払う場合には、指揮命令系統や場所的・時間的な拘束の程度などにより税務上の判断が変わる可能性があります。

税務調査などで実態として給与だと指摘を受けると源泉徴収漏れなどの税負担が生じることとなるため、税理士など専門家にも相談して税務上の取り扱いを確認しておくべきでしょう。

ABOUT執筆者紹介

税理士
1級ファイナンシャルプランニング技能士
金子尚弘

会計事務所プロースト

名古屋市内の会計事務所勤務を経て2018年に独立開業。NPOなどの非営利組織やソーシャルビジネスを行う事業者へも積極的に関与している。また、クラウドツールを活用した業務効率化のコンサルティングも行っている。節税よりもキャッシュの安定化を重視し、過度な節税提案ではなく、資金繰りを安定させる目線でのアドバイスに力を入れている。ブログやSNSでの情報発信のほか、中日新聞、日経WOMAN、テレビ朝日(AbemaPrime)などで取材、コメント提供の実績がある。